原來[イ尓]什麼都不要 |
この曲は多くの歌手にカヴァーされている。 名前を挙げるならジャッキー・チュン(張學友)、ディックカウボーイ(迪克牛仔)、アンディ・ホイ(許志安)、ステフ・スン(孫燕姿)などコンサートだけのLIVE盤もあればきちんとレコーディングしたものもある。作曲者のグォズ(郭子)も自身で歌っているし、日本でもJAYWALKがカヴァーして中国語・日本語両方の歌詞で歌っている。 こんなにも人々に愛され多くの歌手に愛されている。 はたして阿妹はカヴァーされることをどう思っているのだろうか? 孫燕姿がカヴァーアルバムに収録したときファンから賛否両論があり、マスコミでもおかしな噂が流れた。いわく「ステフにカヴァーされたのが気に入らない」「ワーナーの上層部に(文句の)電話をした」などなど。もう中華マスコミのばかばかしい報道に乗るほど幼稚ではないが、それでも読んでて気分が悪くなるような報道だった。 彼女に直接真相を聞けない立場なのが歯がゆいが、私は彼女はそんな狭量な人ではないと思っている。というのも彼女自身数多くの曲をカヴァーし、レコーディングしているからだ。阿妹は歌謡コンテスト出身で、その後しばらくはPUB(日本でいうライヴハウス)で歌っていた。そのどちらでも彼女は他人の歌を歌っていたのだ。 そんな阿妹は自分の持ち歌を別の歌手が歌うということをどう受け止めるだろうか?持ち歌は"彼女のもの"なのだろうか? もともとこの曲は彼女の為に書かれたものではなく、ベテラン歌手パン・ユエユン(潘越雲)のために書かれた曲だということを知ってる人はどれくらいいるのだろう。郭子が作曲をし、[烏β]裕康が潘越雲のために歌詞を書いたのだが思うようにレコーディングが進まず、結局は1年以上お蔵入りとなっていたものを、偶然フォワードのスタッフがレコーディングスタジオで発見し、版権を所有していたワーナーに接触して阿妹に歌わせることになったのだという。本来「虚栄」というタイトルだったのだが「原來[イ尓]什麼都不要」に変更したのも成功だったと思う。(1997年1月6日聯合報より) 正直言って私は最初あまりこの曲が好きではなかった。あまりにもベタベタなラヴバラードで「つくす女」な歌詞としつこいメロディに拒否反応があったのだ。だがネタとしてカラオケで歌う回数が増えていくごとに、この曲を歌うのが気持ちよくなってきた。特に嫌いだった畳み掛けるようなサビの部分がたまらなく気持ちいいのだから不思議だ。 私が中国語カラオケに夢中になっている理由のひとつは「歌うことの快感」によるところが大きいのだが、聴くことよりも歌うことが気持ちよくてハマった曲である。 世の中には歌い継がれる歌というのがある。 それはもともと歌っていた人の存在を越えて残っていく歌だ。 阿妹はコンサートのときによくこう言う。 「歌える人は一緒に歌って」 たくさんのファンの歌声を受け止めて、指揮者のように振舞う彼女は幸せそうだ。 歌は分かち合って楽しむものだと感じているように思える。 私は少女時代の阿妹に思いをはせる。 プユマ族は歌好きだ。人が集まれば歌が自然に飛び出す。誰かが主旋律を口ずさむめば、誰かが和音をつける。父が歌い、母も歌えば姉が、兄が、妹が、そしてきっと阿妹も歌っただろう。 それは家族のハーモニーであり、祖父も祖母も歌ったであろう民族のメロディだ。連綿と受け継がれた音楽が彼女の身体には染み付いている。プユマ族は先祖霊を祭るがこの世を去った先祖の魂は、歌によって受け継がれるのかもしれない。 歌う幸せ、歌を分かち合う幸せを知っている彼女が"この歌は自分のもの"なんて思うだろうか?彼女が欲しかったのは"自分だけしか歌えないヒット曲"だったのだろうか? 私はこんなふうに思う。 小さい頃から歌が大好きだったプユマの少女が望んだものは「虚栄」ではない。 必要なのは歌だけ。ただ歌を歌っていられれば、それだけで幸せなのだ。 彼女は「もともと何もいらない」のだ。 |
2001年2月 草案執筆 2003年3月19日 大幅加筆 |
※収録アルバムをまとめます。他にもあれば教えてください。 | ||||
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アーティスト | アルバム | レコード会社 | 発表年 | 備考 |
迪克牛仔 | 『咆哮』 | 上華 | 1998 | |
動力火車與迪克牛仔 | 『向好朋友演唱會』 | 上華 | 1998 | Live盤・迪克牛仔 |
許志安 | 『好許志安98演唱會』 | 正東 | 1998 | Live盤・同名DVDあり |
張學友 | 『友個人演唱會』 | 環球 | 1999 | Live盤・同名DVDあり |
孫燕姿 | 『Start』 | 華納 | 2002 | 同名カラオケDVD・楽譜あり |
JAYWALK | 『Asia』 | メルダック | 2002 | 一部日本語歌詞 邦題:あなたのそばに |
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